2009年10月31日土曜日

VVVFインバータ制御への挑戦(その2)

 前回の実験から、なめらかに速度を上昇させながら、さらに周波数を上昇させる為に、PWMのデューティ比を出力する前に一つの関数を導入し、周波数と出力で速度を制御する方式をとった。つまり、一定の速度を決定する要素が周波数と出力の組み合わせで、それが何通りも存在するので、その関係を上手く使えば、鉄道模型でもVVVFインバータ制御が可能となる。

それでは、今回の実験結果を見てみると
周波数の切り替わりのタイミングでもスムーズな走行が出来ているが、やはり超低速の発進が出来ていない。まだまだ改良の余地が残っている。

実験機材
CPU:Atmel AVR MEGA644P
FET:2SK2231

実験緒言
PWMデューティ比7.5%~15%
PWM周波数600Hz~3000Hz
可変電圧周波数(VVVFインバータ)制御


使用車両:KATO製 阪急電鉄6300系(4両基本セット)内モータ車のみ
使用線路:KATO製 ユニトラック線路(Nゲージ)

2009年10月28日水曜日

VVVFインバータ制御への挑戦(その1)

 鉄道模型用のコントローラが完成をみたところで、本格的にVVVF(可変電圧可変周波数)インバータ制御について考察してみる。実際の電車は交流(AC)モータを駆動させているが、鉄道模型(Nゲージ)用のモータは直流(DC)モータである。よって周波数によってその出力が変化するかどうかはモータの特性による。そこで、電圧出力(PWMデューティ比)と周波数、速度のデータを収集する必要がある。そこで、速度自動計測システムを使用してグラフを作成する。

縦軸はスケール換算した速度(km/h)、横軸は周波数(Hz)、奥行きの軸は出力(%)

 上のグラフから読み取ると、出力の増加=速度の増加、周波数の増加=速度の増加という関係が読み取れる。しかし、これは実験の結果から出力が7.5~12.5%、周波数が600~1300Hzの間に適応できると考える。実際の電車はどうなっているのかも重要な要素である。そこで、VVVFインバータの音を解析してみる。

たしかE217系だったような気がします(笑)。数秒間の間に周波数が倍増し、それを繰り返している様子が分かる。

 
 ここで、問題なのは鉄道模型(Nゲージ)の加速が早すぎるという事である。数秒間の加速で、スケール換算すると一気に300km/hを突破する(笑)。したがって、VVVFの変化時間をスケール換算してしまうと、0.1秒以下になってしまい、聞こえない(汗)。解析にはまだまだ時間がかかりそうだ。

PWM電車運転コントローラ(ver1.00)「電車でGO!コントローラ対応型」

 タイトルの通り、やっと鉄道模型用(Nゲージ)自作コントローラ(制御装置、パワーパック)完成にこぎつけた。今まで試作を重ねてきた上で、多くの機能を搭載し、さらにPS(プレイステーション)用のコントローラ専用版で2ハンドルとワンハンドルの両方に対応する。そして正式な名称として「PWM電車運転コントローラ」として完成版のver1.00をリリースする。デバッグはこれからだか、微調整はマイナーチェンジで対応する。


入力端子:
・miniDIN(7Pin)変換ケーブルを介してPS(プレイステーション)コントローラ用端子(タイトー社製「電車でGO!」用2ハンドル、ワンハンドルタイプに対応)
・DCコネクタ(センタープラス)12V1.5AスイッチンングACアダプタ

操作部:
・電源スイッチ(トグルスイッチ)
・ボリュームコントローラ(可変抵抗)
・方向転換スイッチ(トグルスイッチ)
・動作切替スイッチ(トグルスイッチ)
・発電ブレーキ作動スイッチ(トグルスイッチ)
・非常停止スイッチ(プッシュスイッチ)

出力端子:
・KATO製フィーダーに対応したコネクタ(PWMデューティ制御による0〜12V出力)

表示部:
・LCD(16×2文字表示、白抜き)
・電源灯(緑色LED)
・発電ブレーキ作動灯(赤色LED)

回路構成:
・電源部(ポリスイッチによる過電流遮断回路、三端子レギュレータによるロジック電圧生成)
・制御部(Atmel AVR mega168P、発進周波数8MHz(内蔵オシレータによる))
・出力部(Power MOS FET、フォトカプラを使用したFETドライブ回路)

主要機能:
・「電車でGO!」コントローラにより加速、減速、惰行運転(出力周波数変更可)
・ボリュームによる出力直接制御(出力周波数変更可)
・発電ブレーキの動作や制動量、作動時期の設定可能
・最高出力、最低出力、1〜3ノッチの出力制限が設定可能
・LCDへの表示(デューティ比、周波数、電流、速度、マスコン・ブレーキの位置)
・速度表示(換算用変数により調整可能)
・旧型車両向け制動遅延システム(ブレーキ操作を行なっても実際の制動が一定時間遅れる(0.1〜5.0秒まで調整可能))
・最大8編成分の設定を記憶、呼び出し可能

2009年10月24日土曜日

試作コントローラver0.8(旧0.6)「PSコントローラ仕様」

 タイトルの通り、この試作コントローラはver0.6の改良版でバージョン番号を改めたものである。プレイステーション(PS)の「電車でGO!」コントローラに対応し、さらにモータ出力部にはFETを使用している。様々な機能を追加し、さらなる進化を遂げたコントローラです。

中央にFET(2SK2231)、マイコンはAtmel AVR MEGA168P

背面部に新たに、PSコントローラ接続用の端子を追加
PSコントローラ用の変換ケーブルを製作

運転する時の状態、左のアルミケースが制作したコントローラ

 では、実際に動かしてみる。このコントローラは「電車でGO!」の2ハンドルとワンハンドルタイプのコントローラを両方使用可能で、コネクタを繋ぎ変えればすぐに、使用できます。

・主要機能
マイコンによるディジタル制御(Atmel AVR MEGA168P)
PWM制御による疑似VVVFインバータ制御
アナログダイヤル及び加速、減速ハンドルによる惰行運転制御
発電ブレーキ、回生ブレーキ、空制ブレーキによる制動を再現
各加速率、減速率、最高出力、制動量の調整
デューティ出力、速度、周波数の表示
過電流保護回路(ポリスイッチ)搭載

・主要緒言
電源:スイッチングACアダプタによる直流12V
出力:FETによる出力0〜12V、最大1.0A
操作:2ハンドル(加速⑤ノッチ、惰行、常用ブレーキ⑦ステップ、非常制動)及びアナログダイヤル。または「電車でGO!」PS(プレイステーション)コントローラに対応
表示:16×2文字表示のLCD及びLED

使用車両:KATO製 阪急電鉄6300系(4両基本セット)内モータ車のみ
使用線路:KATO製 ユニトラック線路(Nゲージ)

2009年10月22日木曜日

Power MOS-FETで鉄道模型を動かしてみる

 今まで製作してきたコントローラのほとんどは市販のモータドライバICを使用している。これは単純に4つのトランジスターをHブリッジという構成で使用し、正転、逆転、ショートブレーキの動作を実現している。非常に使い易く、また、パッケージも小型で、熱遮断や過電流遮断と言った安全回路も内蔵されている。しかし、トランジスターにも欠点がある。それは電流値が増大すると、トランジスターが抵抗となり、熱となって消費されてしまう。そのため、1A程度の電流が必要な場合には必ず、ヒートシンクを取り付け、放熱には気をつけなければならない。
 一方、世の中にはPower MOS-FETと呼ばれる素子がある。詳細は割愛するが、これはトランジスターに変わる素子で、その大きな特徴は抵抗値が少ないという事である。つまり、ある程度の電流を流しても発熱が少なく、また、効率よくモータを回す事が可能となる。ただし、良い事ばかりではない。もし、FETがショートモードで崩壊した場合、つまるところショートするので、鉄道模型で使用する場合、脱線等によって、レール間がショートすると大電流が流れ、その時にFETが崩壊すると、FETが発火、また周辺回路も焼損してしまう。それを防ぐ為には、過電流保護回路や熱遮断回路は必須で、FETを的確に駆動する事が必要となる。

何はともあれ実験をする。ブレッドボードを使って簡単に回路を作ってモータを動かす

実験結果のグラフ
 上のグラフは横軸がPWMのデューティ比で、縦軸が時速(スケール換算)である。グラフ中の速度域ではFET(菱形のプロット点)がトランジスタ(四角のプロット点)を上回っている。これは抵抗が少ない分、効率よくモータを回している証拠である。37.5%の時、最大1.2倍の速度差があった。

実験機材
CPU:Atmel AVR MEGA644P
Power MOS-FET:SUP85N15
Photo Coupler:TLP250
Power Supply:スイッチングACアダプタ(12V5A)
Photo Senser:TPS816(F),TLN110

実験緒言
PWMデューティ分解能20000段階
PWM周波数50Hz
センサ間隔80mm
2.5%毎に速度を計測

使用車両:KATO製 阪急電鉄6300系(4両基本セット)内モータ車のみ
使用線路:KATO製 ユニトラック線路(Nゲージ)

Nゲージ速度自動計測システムの考案

 鉄道模型のNゲージはほとんどの製品が1/150スケールで作られている。ここで、ふと疑問に思うのが、やっぱり走行する速度も1/150になるのか?、と思うのは私だけだろうか(笑)
 ここで、PWM制御においての出力から速度を算出する為に、実際に速度を計測するシステムを構築した。機構としてはセンサは赤外線センサ、マイコンでセンサやモータドライバICを制御し、自動的に速度を計算し、PCへデータを転送する。あとは、表計算ソフトを使って、データを処理すれば簡単に計算できる。

フォトセンサには外乱光に強い、TPS816(F)を使用する。赤外線ダイオードには指向性の強いTLN110を使用して、少しでも精度を上げようとしている(笑)


2つのセンサ間を往復して、計4回の測定を行なう。ちなみに、センサの間隔は80mmである。徐々に、出力を変化させ、連続してデータを収集する。PCへはシリアル通信で転送している。


 上のグラフは実験の結果である。今回使用したのはKATO社製の阪急6300系で、動力車のみで行なっている。出力はモータドライバICであるTA8429HQを使用し、電源はスイッチング(12V5A)となっている。結果として出力から速度を算出するには、近似直線を適当に書くと
速度(km/h) = 6.278×出力(%)-48.997
で得られた。これをコントローラのシステム内で使用すれば、より実車に近い速度表示が可能となる。

2009年10月21日水曜日

運転台型コントローラの製作(その三)

 それでは、2ハンドルタイプの運転台型コントローラの詳細を記述する。外観は写真の通りで、手前に操作部があり、奥にメータ類を配置している。

 実際に走行実験の様子を見てみる。まだ、デバッグ中なので、メータの動作や車両の動きは悪いが、速度計と圧力計、さらに警笛などの機能は動作している。
表示部をより実車に近づける為にはまだまだ改良が必要である

側面部にはスピーカがある

背面にはコントローラとPCとの通信用コネクタ(D-SUB9pin)、KATO用フィーダコネクタ、DCコネクタ、主電源スイッチがある。

・機能詳細
①主操作部:ポーニーキャニオン社製「Master Controller 2 for Train Simulator」(加速6ノッチ、常用ブレーキ8段階、非常制動、押しボタンスイッチ4個、逆転スイッチ)
②副操作部:自作運転台上(トグルスイッチ6個、プッシュスイッチ2個、ロータリスイッチ2個、ロータリーエンコーダ2個、ボリューム2個、キースイッチ)
③主表示部:KATO社製ECS-1パネルメータ(電流計、速度計、圧力計)
④副表示部:自作運転台上(LCD(20文字4行表示)、大型LED2個、小型LED4個)
⑤制御回路:マイコン(ルネサステクノロジ社製SH-2 7144F)を使用したPWM信号制御
⑥出力回路:モータドライバIC(TA8428K)2チャンネル

・特徴 
 マイコンを用いたPWM信号で可変電圧可変周波数制御(VVVFインバータ制御)を行なう。これにより、出力が0.0〜12V(分解能10bit)、周波数が30〜20kHzまで変更可能。
 完全なディジタル制御により、LCDやLED、パネルメータの制御を行うことで、任意の表示が可能。
 録音再生ICにより、警笛の音を出力可能。
 計器やLCDの夜間用照明用のLEDを搭載、さらに、キースイッチにより、動作切替。
 加速率、減速率、最高出力、ブレーキ制動量の各設定がEEPROMにより記録可能。電源を切っても記録を保持。

・主要緒言
電源:12V5A(スイッチングACアダプタにより供給)
出力端子:KATO用フィーダコネクタ×2チャンネル(0〜12V)
入力端子:D-SUBコネクタ×2個(ポニーキャニオン用、PC通信用)

2009年10月19日月曜日

電車でGO!のコントローラを改造して鉄道模型を動かす

 前回の記事で「電車でGO!」の2ハンドルタイプのコントローラ(セガサターン用)の解析が終了したので、今回は実際に鉄道模型を動かしてみる。と言っても、コントローラの信号を解析し、それをマイコンで処理し、PWM制御を用いて、鉄道模型(Nゲージ)のモータを制御する。これはいつも通りの構成である。様々なコントローラがあるが、それを単なる入力装置として扱う事で、汎用性の高いコントローラとなり、いろんなコントローラで鉄道模型を動かす事ができる。これもマイコンのおかげである。さらにはプログラムを変更する事によって、より複雑な動作も可能であるので、自作&改造には重宝する。

とりあえず、改造したコントローラからはマスコンの位置情報が3bit、ブレーキの位置情報が4bitで出てくる。単純にLEDを光らしてみると以下の通り。


この信号をマイコンで処理し、Nゲージを走らせてみる。モータ出力にはドライバICを使用しPWM信号で出力を調整する。緩やかな、加速減速と、低速運転が可能となる。

・仕様
入力部:タイトー製セガサターン用「電車でGO!」2ハンドルコントローラ(改造済み)
CPU:ルネサステクノロジ社製SH2 7144F
出力制御:モータドライバIC「TA8428K」を使用したPWM出力制御

・使用車両:KATO製 阪急電鉄6300系(4両基本セット)内モータ車のみ
・使用線路:KATO製 ユニトラック線路(Nゲージ)

電車でGO!のコントローラを改造する(セガサターン用)

 電車でGO!の2ハンドルタイプのコントローラ(セガサターン用)を手に入れたので、改造してみる。PS(プレイステーション)用であれば、信号を解析し、コントローラとしての機能を残したまま活用できるが、セガサターンは所持しておらず、内部の構造を知る為にも、改造を行なう。

<注意!!>
・電気製品の分解・改造は個人の自己管理の元で行なってください。そもそも改造する事を前提に設計されていません。機器の故障、破壊はもちろん怪我、火傷、感電、火災につながる可能性があります。このブログは改造を推奨する為に記述しているのではありません。また作業内容には記事以外の内容が多分に含まれており、専門的な知識や技術が必要となります。あくまでも、このような改造事例があるという事実を伝える為のものですので、ご注意下さい。また、コントローラの種類や製造年代によっては同一の機構や回路でない場合があります。

まずはコントローラ本体、やはりおもちゃと言った感じ、、、。

裏側、謎の切り込みがある(笑)

裏蓋を開けたところ、やはり謎の切り込みは謎のまま(笑)

メインの基板上に専用のICがあり、さらに、マスコン用とブレーキ用のコネクタがある。

ブレーキ側の基板、よく見ると、汎用ロジックICが使われていて、単純なエンコーダの回路構成となっている。つまり、マスコンの6段階(「切」を含む)とブレーキの15段階(「解除」を含む)が2進数に変換され、それぞれ、3bitと4bitに変換されている。

内部の構造が理解できたので、改造に取りかかる。まず、専用ICは単なるブラックボックスなので取り外す。コントローラ用のコネクタは9芯なので、電源とGND、さらに信号線が7bitで数はぴったり合う。そこで、コントローラ用のコネクタの基板をカットし、 コネクタ間をジャンパ線で結び、コントローラ用の端子から直接信号を取り出す事にした。

セガサターン用のコントローラ端子を切断し、代わりに、QIコネクタで配線する。

改造が終了したので、確認作業を行う。残念ながら、スタートやセレクト、ABCボタンは使えなくなった。

 今回の改造によって、内部の構造はさほど複雑ではない事が判明した。しかし、スペース的には小さく、この中に回路を組み込むのは難しい。やはり、外部入力装置として使うべきである。

運転台型コントローラの製作(その二)

 引き続き、運転台型コントローラの製作中である。外観とパネルメータの駆動、さらにバックライトとイルミネーションが完成したので、その実験を行う。

 表示部にはKATO製のECS-1のパネルメータを流用し、さらに液晶ディスプレイ(LCD)を2つ、大型のLEDと小型のLEDを搭載した。さらに、ボリュームやトグル、プッシュスイッチとロータリーエンコーダとロータリスイッチを搭載している。ここで、照明の点灯試験とパネルの駆動実験の様子を見てみる。


 背面部の主電源によって、パネル部のランプが点灯している。さらに、キースイッチを使用して、マイコンを起動させて、パネルの照明やメータを駆動させる。現時点ではスイッチとLEDの点灯試験を行うため、スイッチの機能は一部変更してある。さらに、ボリュームによって、メータの駆動実験を行っている。

2009年10月18日日曜日

運転台型コントローラの製作(その一)

 今まで、制作してきたコントローラは特に外観が運転台とは呼べない代物であった。しかし、操作方法やモータへの出力制御が、試作製作による試行錯誤で一応の完成形をみたので、ここで、知人から頼まれている運転台型コントローラを製作してみる。仕様としては今まで通り、マイコンを使用したPWM制御(疑似VVVFインバータ制御)でモータを駆動させる方式をとり、可変電圧可変周波数制御で、より実車に近い走行を実現する。さらに、加速率、減速率、ノッチ制限、制動遅延、発電ブレーキ、空制ブレーキ、最高出力制限等の調整機能を含み、表示部分にもLCDやLEDを使用し、すこし、大型のコントローラを制作する。
 
 とりあえず、外観はCADで設計を行う
 メータはKATO社製のECS-1のパネルメータを流用し、幅400mmのアルミケース上に固定する。操作部はポーニーキャニオン社製「Master Controller 2 for Train Simulator」を使用し、2ハンドルのコントローラとして設計する。

詳細は乞うご期待!!

2009年10月13日火曜日

抑速について

 KATO社製の運転台型コントローラECS-1を改造して、マイコンを使用したPWMコントローラにて抑速運転を行った。ECS-1の操作には力行4段階、抑速、常用制動8段階、抜き取り、非常制動がある。その中で抑速運転の動作にこだわってみる。
 今回、抑速でその名の通り速度を抑える方法としては電制ブレーキ(発電ブレーキ、回生ブレーキ、電気ブレーキ)だけの制動をかけ、空制ブレーキは一切使用しない。しかし、電制だけでも高速運転時は制動の効きはなかなかのものである。しかし、低速時には制動力が得られなくなるため、ある一定の出力以下では自動的に電制が切れる。その動作も中実に再現してみたい。


①マスコンレバーを力行にし、電車を加速させる。
②マスコンレバーを戻し、電車は惰行。さらに抑速に入れる。
③電制ブレーキが効き、電車に制動がかかる。
④一定出力以下(今回は8%以下)になると電制ブレーキが切れ、電車は惰行する。
⑤空制ブレーキを作動させ、電車を停止させる。

・仕様
入力部:KATO社製ECS-1改造コントローラ
CPU:ルネサステクノロジ社製SH2 7144F
出力制御:モータドライバIC「TA8428K」を使用したPWM出力制御
アルゴリズム:疑似サイリスタチョッパ制御、電磁直通空気ブレーキ
操作方法:力行4段階、抑速、常用制動8段階、抜き取り、非常制動

・使用車両:KATO製 阪急電鉄6300系(4両基本セット)内モータ車のみ
・使用線路:KATO製 ユニトラック線路(Nゲージ)

電磁直通ブレーキ(SMEE)の実験(ECS-1改造コントローラ)

 今回の実験では電磁直通ブレーキを再現する。さらに、KATO(カトー)社製の運転台型コントローラであるECS-1をPWMコントローラに改造し、マイコンで制御を行う。都合上パネルは撤去し、マスコンハンドル、ブレーキハンドル、逆転スイッチのみを入力として扱いマイコンで処理し、モータドライバを使用してモータへの出力を行なっている。
 ここでは、前回までの直通ブレーキの実験()から徐々に発展しているが、特に空気の圧力を制御に取り入れる事で、ブレーキの挙動をより実車に近づけるための実験である。MR(Main Reservoir):元空気溜めとSAP(Straight Air Pipe):直通管の圧力の変化を数値として表現しているところが大きな特徴である。

 簡単にブレーキの構造を紹介する。まず、直通管は直接ブレーキシューを動作させる為の圧力管でこの圧力が高いとより強力にブレーキがかかる。また、元空気溜めはブレーキ動作に必要な圧力を溜めておくタンクの事である。通常はコンプレッサーの動作によって一定圧力が保たれる。では、動作を再現してみる。


①:ブレーキレバーを左へ回して直通管の圧力を解放し、ブレーキを解除(SAPの圧力に注目)
②:マスコンハンドルを力行に入れ列車を加速させる
③:マスコンハンドルを戻し、列車は惰行運転に入る。ちなみに、抑速は発電ブレーキのみが作動する。
④:ブレーキハンドルを右へ回し、直通管に圧力が送られ、列車に制動が掛かる。このとき、SAPに送った圧力分だけ、MRの圧力が下がる。しかし、コンプレッサーによって圧力が回復する。
⑤:ブレーキハンドルの位置に応じて制動力が変化する。ブレーキを解放すれば、列車は現在の速度で惰行する。
⑥:列車を完全に停止させる為に、ブレーキの圧力を上げる。しかし、実車ではショックが大きくなるので、ここの操作が上手下手の条件の一つとなる。


・仕様
入力部:KATO社製ECS-1改造コントローラ
CPU:ルネサステクノロジ社製SH2 7144F
出力制御:モータドライバIC「TA8428K」を使用したPWM出力制御
アルゴリズム:疑似サイリスタチョッパ制御、電磁直通空気ブレーキ

・使用車両:KATO製 阪急電鉄6300系(4両基本セット)内モータ車のみ
・使用線路:KATO製 ユニトラック線路(Nゲージ)

2009年10月9日金曜日

直通ブレーキ(SME)の実験(その2)

 前回の実験では制動の遅延だけを表現したに過ぎない(笑)。ここでは本格的に、空気溜めから、直接ブレーキシリンダへ圧力が加わるような動作を再現したい。
 ブレーキの動作を要約すると、まず、ブレーキシリンダに圧力を掛けることで、シリンダが動作し、ブレーキシューを車軸に押し当てて、制動が掛かる。ここで、空気溜めから、直接ブレーキシリンダへ空気を送る為の調整機能がブレーキレバーとなる。
 この今回制作した制御装置のブレーキレバー操作は以下の様に範囲が決まっている。
 減圧域ではシリンダの圧力を解放する(ブレーキが緩む)、制動保持域ではシリンダの圧力を保持する(ブレーキを維持)、常用制動域ではシリンダへ空気を送り込む(ブレーキがよりかかる)、非常制動域では非常弁が開かれ、非常用のタンクからブレーキシリンダへ圧力が送られ、非常制動がかかる。
 それでは、動画を見ながら、動作を確認してみる。
1:加速レバーで、電車を加速させる。
2:加速レバーを緩め、電車は惰行する。
3:ブレーキレバーを常用制動域に入れ、シリンダ圧力が上昇する。コントローラのLCDには圧力表示があり、ブレーキの動作具合が確認できる。
4:制動保持域にレバーを入れると、圧力が保持される。当然、電車は制動がかかった状態なので、減速する。
5:減圧域にレバーを入れると、シリンダの圧力が解放されて行くが、すぐに圧力が抜けないので、この状態でも制動がかかっていて、電車は減速する。

・・・・・はっきり言って、運転が難しい(笑)。

試作コントローラver0.7(直通ブレーキ仕様)

 今まで、製作してきた制御装置(コントローラ、パワーパック)のブレーキハンドルはロータリースイッチを使用している。つまり、ブレーキを数段階に分けて作動させるものである。これは常用制動1〜7までのそれぞれの段階で、制動量を決定するアルゴリズムで、明解かつ操作もやりやすい。しかし、世の中、そんな簡単に動かせる電車は多くない(笑)。そこで、今回は「直通ブレーキ」と呼ばれるブレーキを採用した制御装置を作ってみる。

 ブレーキの仕組みや、制御システムのアルゴリズム、制御装置の詳細は次回の記事で、また制御装置の仕様についてはHPで掲載していますので、ご覧ください。「こだわり電車運転台(http://kodawaritrain.web.fc2.com/)

まずはCADで設計して図面を描く

次にケースを加工

部品を仮配置して、干渉をチェック

基板を設計&製作、マイコンを使用しているので、非常にコンパクト

スイッチ類との配線を行なう

プログラムを書き込み、動作チェック

 肝心な制御アルゴリズムはここから開発が始まる(笑)

・主要機能
マイコンによるディジタル制御(Atmel AVR MEGA168P)
PWM制御による疑似VVVFインバータ制御
アナログダイヤル及び加速、減速ハンドルによる惰行運転制御
発電ブレーキ、、空制ブレーキによる制動を再現
各加速率、減速率、最高出力、制動量の調整
デューティ出力、速度、周波数、電流、ブレーキ圧力の表示
過電流保護回路(ポリスイッチ)搭載

・主要緒言
電源:スイッチングACアダプタによる直流12V
出力:モータドライバICによる出力0〜12V、最大1.0A
操作:2ハンドル(加速⑤ノッチ、惰行、常用ブレーキボリュームによる無段階、非常制動)及びアナログダイヤルによる
表示:16×2文字表示のLCD及びLED

2009年10月7日水曜日

試作コントローラver0.6(ローコスト版)

 今まで製作してきたコントローラは、試作の段階ということもあって、市販のコントローラよりも制作費は高くなってしまっていた。機能を求める点では自作にこだわる必要があるが、できれば安く作りたい。そこで、今回は今までのコントローラの機能を維持しつつ、製作コストを下げる努力をしてみた(汗)。
 今回のコントローラにはさらに、運転中の周波数可変制御(疑似VVVFインバータ制御)を可能としたアルゴリズムを適用し、より柔軟な運転が可能となり、また、運転走行可能な車両も増えた。さらには、応用として、常時点灯ユニットへの対応も可能となる。一方、自動運転の為のセンサ入力や方向転換、ポイント操作への機能拡張は出来ない。

・制作過程

まずは設計、CADを使って頭の中のイメージを具体化する

設計図をアルミケースに貼り、穴あけ準備

基板の製作、ちなみに回路図は頭の中(笑)

穴あけ完了、仕上げはヤスリを使う

部品の仮配置、干渉をチェック

配線作業、一番厄介(笑)

完成!!、あとはプログラムのチェック


・主要機能
マイコンによるディジタル制御(Atmel AVR MEGA168P)
PWM制御による疑似VVVFインバータ制御
アナログダイヤル及び加速、減速ハンドルによる惰行運転制御
発電ブレーキ、回生ブレーキ、空制ブレーキによる制動を再現
各加速率、減速率、最高出力、制動量の調整
デューティ出力、速度、周波数の表示
過電流保護回路(ポリスイッチ)搭載

・主要緒言
電源:スイッチングACアダプタによる直流12V
出力:FETによる出力0〜12V、最大1.0A
操作:2ハンドル(加速⑤ノッチ、惰行、常用ブレーキ⑦ステップ、非常制動)及びアナログダイヤルによる
表示:16×2文字表示のLCD及びLED