2015年7月18日土曜日

鉄道模型用デュアルキャブコントローラー

以前に製作したポイント制御付きデュアルキャブコントローラーであるが、今回は、制御するポイント数を減らして試作してみた。そもそも、デュアルキャブコントローラーはデュアルつまり、2台のキャブ(運転台)ここではパワーパックやパワーユニットなどの、模型を制御する機械をコントロール(入換え)を行なう物である。単線の折り返しやエンドレスループの場合には駅やヤードを設置しててもキャブコンが必要になる場面は少ないだろう。しかし、複線やリバース線、待避線などを設置した場合にはキャブコンが必要となってくる。

そもそも、キャブコン自体は6Pトグルスイッチやロータリースイッチなどで、安価に非常に簡単に作ることができる。ただし、コントローラーの出力を入れ換えるだけではポイントが切り替わって無い場合にはショートしたり、進行方向が急に変化する場合がある。キャブコンが必要な場面では、得てしてポイントの切替が伴う物である。

今回試作したものは、ポイントは2線式の物が二個、キャブXとキャブYの入力、フィーダーの出力(OUT)の端子がある。ポイントはモータードライバーによる時間制御、キャブコン自体は機械式リレーをマイコンにより制御している。マイコンを使うことによって、確実な動作はもとより、一度記録した設定を呼び出すボタンを設置しており、一つのボタンでポイントならびに、キャブコンを制御できる。

リバース線路の場合は上図のように、ギャップ(絶縁個所)とフィーダーの接続、ポイントの接続を行なう。ポイントの切替に応じてフィーダーの出力(OUT)の極性を逆転させることで、スムーズな運転ができる。

駅構内に待避線がある場合は、内回り外回りともに待避線を使用する場合がある。その際にはキャブコンは必須である。

上図は複線エンドレスにヤードを設置する場合である。複線折り返しの場合にはフィーダーの位置に注意が必要である。複線の場合にはヤードに上り下り双方が入換えを行なうので、キャブコンがあればさらに便利になる。ポイント切替と同時にコントローラーを入れ換えるので間違いが無い。また、ヤード線内専用のコントローラーを設置する場合には、トリプルキャブコンやマルチキャブコン(2台以上)も必要になってくるだろう。今回は2IN1OUTという機器になると思うが、3IN1OUTや2IN2OUTなどのキャブコンも考えられる。

ご意見、ご感想があればお気軽にお問い合わせ下さい。またブログにて紹介しているコントローラの一部は店舗またはこだわり電車運転台ストアにて販売もしております。是非、ご検討ください。

リバース線で実験した動画リンクをアップロードしたので、掲載しておく。
追記2015/7/24

2015年7月14日火曜日

製品の安全性に関する考察(部品の発熱について)

デジタル回路でもアナログ回路でも部品の発熱は電子回路にとって重要な課題である。最近は、省電力、低発熱の素子が増えてきたが、やはりそれを無視することはできない。特に、製品に適応させる場合には、安全性を考慮し、放熱対策は講じておくべきである。

一般的に、素子の温度が上昇すると抵抗値が上昇し、さらに、素子自体の温度もあがるという悪循環になる。もちろん、大気温度(室温やケース内温度)も重要な要素となる。最近暑い日が続くので、これらも加味する必要がある。

さて、コントローラー内部の発熱する部品を考えてみると、まずは電源系統12Vからマイコン作動用の5Vに落とすための三端子レギュレーター、PWM制御を行うFET、さらには電流の通り道となるダイオード、処理を行うマイコンなど、得てして電気が通るものはほとんど発熱するといって過言ではない。今回はその中でも三端子レギュレーターの発熱に関して考察する。

まず、三端子レギュレーターはごく簡単にいうと12Vから5Vへ降圧する際に、熱量に変換しているといえる。その電圧差は7Vであり、たとえば0.5A消費した場合は
7*0.5=3.5W
となる。たとえば、新日本無線(JRC)のNJM7805FAのデーターシートを参照するとヒートシンク(放熱板、画像のようなもの)をつけない場合の発熱量は60℃/Wとなる、つまり
3.5*60=210℃
動作温度の上限は85℃なので、間違いなく壊れる。一方、ケースに接合(無限大のヒートシンク)した場合5℃/Wなので、
3.5*5=17.5℃
となり、気温が25℃として
25+17.5=42.5℃
まあ、ほんのり暖かいぐらいになる。一方この場合は、ケースが無限大のヒートシンクとした場合の話なので、現実的ではない、そこで、どの程度のヒートシンクが必要かを考える。LSIヒートシンクのPシリーズ、16PC26をつけるとした場合、グラフから読み取ると3.5W時に53℃となる。外気温25℃のときには
25+53=78℃
動作温度範囲内ではあるが、もし、外気温が32℃をこえると、定格を超えてしまうので、これでは役に立たない。ここから、ヒートシンクを大きくするか、消費電力を下げるか、入力電圧を下げるか、別の冷却方法(ファンをつける)など、対策を講じていくことになる。

安全率という言葉がある。たとえば、予想される最大温度が50度であれば、100℃まで対応できるよう設計すると安全率2となる。軍用や試作ならともかく、製品に適応する場合には3~5、特に人命にかかわるようなものでは10以上とするのが普通である。こつこつと小さな安全を積み重ねると、製品全体の安全が保たれるのである。

2015年7月13日月曜日

鉄道模型用電圧制御ユニットの実験

さて、タイトルは仰々しいが、要は電圧制御により模型を動かすための実験である。PWMも電圧制御の一種であるが、高速でON-OFFが繰り返されるので、音(当方のコントローラーではこの音を逆手に取って駆動音としてならしている)やモーターの種類によっては発熱などの問題点がでてくる。さて、鉄道模型メーカーが販売しているパワーパックやパワーユニットは、上記のPWM方式とさらに、可変電圧制御もしくは電流制御により模型を駆動させるものである。鉄道模型とくにNゲージの仕様では電圧は0〜12Vであり、モーターへ流す電流を多くすればモーターが早く回り、模型も速く動く、電流を流すためには電圧を上げるという動作を行なっている。

さて、今回実験用に製作したのは、PチャンネFETを用いたハイサイドスイッチタイプの可変電圧装置である。簡単に言うと、12VをPWM制御にて任意の電圧(0〜12V)まで変化させ、それをレールへ供給するものである。PWM制御を行っているが、回路上にはLCフィルタというローパスフィルタを設置することにより、出力信号は平滑され前述したノイズ(音)の成分は入っていない。下の画像は平滑した出力をオシロスコープにて計測した様子である。

実験ではそこまで大きな電流がながれていないので、平坦な信号であるが、出力に応じてコイルやコンデンサの数値を吟味しなければならない。

 
さて、なぜ、このような実験をしているかというと、HOゲージや長編成のNゲージを制御する場合は最大で15V、3A程度の容量が必要と考える。といっても、3Aというのは、通常では考えがたい電流であるが、重連(モーター車が複数)や重量の重い車両の場合にはそれなりに必要かと思う。また、今回はマイコンを使用しているので、出力電圧や電流に応じたフィードバック制御が可能になる。これは定速度運転や自動運転、過電流時の安全制御に有用である。

2015年7月10日金曜日

新型コントローラーの考察BLタイプver2.03(試作品)

駆動音確認用コントローラーの製作
現時点(2015/07/10)での当方の再現している駆動音の総数は64種類あります。現在販売しているコントローラーにはメモリの都合上最大で24種類しか搭載出来ません。ただ、一つのコントローラーで多くの駆動音を収録することができれば、確認用や多数の車両を所有する場合には重宝できます。

液晶ディスプレイを搭載し、現在の駆動音、ノッチの位置、出力を表示します。

マスコンは側面に配置し、ロータリースイッチにより、力行3段、緩め、制動4段、非常ブレーキとなっている。

駆動音はプッシュスイッチとつまみにより、選択できる。また、内部変数の変更が可能なので、ノッチオフ時の挙動(有音化、無音化)の選択や電源投入時の駆動音をあらかじめ設定することができる。またプログラムの変更で惰行運転時の減速率や各ノッチ毎のパラメータ変更、さらには、最高速度調整や加速・減速率の微調整なども調整可能となる。

このコントローラーは模型店での駆動音確認や運転会やイベントなどで活躍しそうな気もしますが、あいにくそのような予定が無いので、困っています。

ご意見、ご感想があればお気軽にお問い合わせ下さい。またブログにて紹介しているコントローラの一部は店舗またはこだわり電車運転台ストアにて販売もしております。是非、ご検討ください。

2015年7月5日日曜日

PWM電車運転コントローラA-miniタイプver1.20について

以前PWM電車運転コントローラA-miniタイプver1.10を製作、販売しておりましたが、部品調達の都合上、休止をしておりました。この度、一部仕様と外観を変更致しまして、新たにver1.20として、製作販売いたします。当方のコントローラー入門機として是非ご検討ください。




以前製作しました、A-miniタイプver1.10と比べると大きさそのものは変わりませんが、つまみを大きくし、より操作し易くなっております。電源スイッチ、確認用LED、進行方向切替スイッチ、出力調整用つまみのシンプルな構成で、小型レイアウトに最適です。またマイコンによるPWM制御と、可変周波数制御(疑似VVVF)により、無改造で模型のモーターから駆動音をだすことにより、さらに臨場感あふれる走行が楽しめます。

ご意見、ご感想があればお気軽にお問い合わせ下さい。またブログにて紹介しているコントローラの一部は店舗またはこだわり電車運転台ストアにて販売もしております。是非、ご検討ください。