一般的に、素子の温度が上昇すると抵抗値が上昇し、さらに、素子自体の温度もあがるという悪循環になる。もちろん、大気温度(室温やケース内温度)も重要な要素となる。最近暑い日が続くので、これらも加味する必要がある。
まず、三端子レギュレーターはごく簡単にいうと12Vから5Vへ降圧する際に、熱量に変換しているといえる。その電圧差は7Vであり、たとえば0.5A消費した場合は
7*0.5=3.5W
となる。たとえば、新日本無線(JRC)のNJM7805FAのデーターシートを参照するとヒートシンク(放熱板、画像のようなもの)をつけない場合の発熱量は60℃/Wとなる、つまり
3.5*60=210℃
動作温度の上限は85℃なので、間違いなく壊れる。一方、ケースに接合(無限大のヒートシンク)した場合5℃/Wなので、
3.5*5=17.5℃
となり、気温が25℃として
25+17.5=42.5℃
まあ、ほんのり暖かいぐらいになる。一方この場合は、ケースが無限大のヒートシンクとした場合の話なので、現実的ではない、そこで、どの程度のヒートシンクが必要かを考える。LSIヒートシンクのPシリーズ、16PC26をつけるとした場合、グラフから読み取ると3.5W時に53℃となる。外気温25℃のときには
25+53=78℃
動作温度範囲内ではあるが、もし、外気温が32℃をこえると、定格を超えてしまうので、これでは役に立たない。ここから、ヒートシンクを大きくするか、消費電力を下げるか、入力電圧を下げるか、別の冷却方法(ファンをつける)など、対策を講じていくことになる。
安全率という言葉がある。たとえば、予想される最大温度が50度であれば、100℃まで対応できるよう設計すると安全率2となる。軍用や試作ならともかく、製品に適応する場合には3~5、特に人命にかかわるようなものでは10以上とするのが普通である。こつこつと小さな安全を積み重ねると、製品全体の安全が保たれるのである。
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