2015年7月14日火曜日

製品の安全性に関する考察(部品の発熱について)

デジタル回路でもアナログ回路でも部品の発熱は電子回路にとって重要な課題である。最近は、省電力、低発熱の素子が増えてきたが、やはりそれを無視することはできない。特に、製品に適応させる場合には、安全性を考慮し、放熱対策は講じておくべきである。

一般的に、素子の温度が上昇すると抵抗値が上昇し、さらに、素子自体の温度もあがるという悪循環になる。もちろん、大気温度(室温やケース内温度)も重要な要素となる。最近暑い日が続くので、これらも加味する必要がある。

さて、コントローラー内部の発熱する部品を考えてみると、まずは電源系統12Vからマイコン作動用の5Vに落とすための三端子レギュレーター、PWM制御を行うFET、さらには電流の通り道となるダイオード、処理を行うマイコンなど、得てして電気が通るものはほとんど発熱するといって過言ではない。今回はその中でも三端子レギュレーターの発熱に関して考察する。

まず、三端子レギュレーターはごく簡単にいうと12Vから5Vへ降圧する際に、熱量に変換しているといえる。その電圧差は7Vであり、たとえば0.5A消費した場合は
7*0.5=3.5W
となる。たとえば、新日本無線(JRC)のNJM7805FAのデーターシートを参照するとヒートシンク(放熱板、画像のようなもの)をつけない場合の発熱量は60℃/Wとなる、つまり
3.5*60=210℃
動作温度の上限は85℃なので、間違いなく壊れる。一方、ケースに接合(無限大のヒートシンク)した場合5℃/Wなので、
3.5*5=17.5℃
となり、気温が25℃として
25+17.5=42.5℃
まあ、ほんのり暖かいぐらいになる。一方この場合は、ケースが無限大のヒートシンクとした場合の話なので、現実的ではない、そこで、どの程度のヒートシンクが必要かを考える。LSIヒートシンクのPシリーズ、16PC26をつけるとした場合、グラフから読み取ると3.5W時に53℃となる。外気温25℃のときには
25+53=78℃
動作温度範囲内ではあるが、もし、外気温が32℃をこえると、定格を超えてしまうので、これでは役に立たない。ここから、ヒートシンクを大きくするか、消費電力を下げるか、入力電圧を下げるか、別の冷却方法(ファンをつける)など、対策を講じていくことになる。

安全率という言葉がある。たとえば、予想される最大温度が50度であれば、100℃まで対応できるよう設計すると安全率2となる。軍用や試作ならともかく、製品に適応する場合には3~5、特に人命にかかわるようなものでは10以上とするのが普通である。こつこつと小さな安全を積み重ねると、製品全体の安全が保たれるのである。

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